日本の医療崩壊の原因

 23,2008 01:00

白線
このところここでも書いている「日本の医療崩壊」の現状。なぜこうなってきたかというのを
現場の医師の視点から分かりやすくベタに説明します。

手元に資料などを揃えておらず、細かい数値などは大体のことなので正確さには欠きます。

・まず研修制度の変化~卒後研修義務化、大学教授の人事権、医局の求心力の低下。

私が医師になった頃は国家試験に合格した後、7割ぐらいの新米ドクターは母校の大学の医局に入局してました。これが今は「卒後研修の義務化」により、まずどこの医局にも所属せず、2年間の研修期間を経ます。その研修期間は指導医の元でしか医療行為はできず当然単独での当直業務も出来ません。

この研修制度の義務化はとある大学病院での耳鼻科の研修医の過労死事件がきっかけだったと思う。実は私の知る限りその舞台となった大学病院は、ナースを初めとするパラメディカルスタッフの働きがかなり悪かった。要はナースでも出来る雑用を研修医に押し付けていて、この大学病院ではナースがストなんかして、その時は研修医が食事の配膳までやらされていた。当時でも雑用が多かったのに、この事件が起こった時なんかはもっと酷かっただろう。これはこの大学病院のシステムの悪さ、管理の悪さ、(教授同士の連携の不行き届き~とある国立大学出身の医師の行き場所みたいな)なども原因だったと考えられる。上がガタガタで現場が野放しだったんだよね。ナースがあまり動かず、ナースステーションにずっと座っていてカルテに色々と書いているって感じの大学病院。研修医に対して上からモノを言い、彼女達は色々と難くせをつけて採血さえしようとしない、最低ですよ。

この事件をきっかけに研修医の待遇改善が求められ、それは、実現したのですが。。。

話は戻って、私たちの時代だと入局して半年間は当直禁止とか医局で取り決めていて~その間に通りいっぺんの医療行為が出来るようになる~それから解禁になって当たり障りの無いユルイ病院とかに泊まり業務に行くわけです。そうやって先輩から引き継がれて行く当直先をだんだんと廻っていくわけです。

当時も国からは研修補助費といって早い話が月給14万ぐらい出ていたんですが、うちの大学だとその内
大学側が10万ほどピンハネして私たちの手取りは月に4万でしたね。大学病院の激務をしながらですよ。
だから半年過ぎたらバイトに行くわけで。でないと生活できませんから。

現在はそのピンハネは禁止されていて研修補助費17万(ぐらいだっけ?)は研修医には渡されます。

しかし現在は研修医単独の当直業務は出来ません。よって3年目以降の医師にその負担は覆いかかってくるわけです。すると当然マンパワーは落ちます。当たり前の事です。

そして2年間の研修期間での彼らは医局にとっては「お客様」。当然何も覚える事も出来ずに次の科に移るわけで。2年間は学生のポリクリの延長みたいなものに成り下がってしまった。

だいたいそんな時期に色んな医療を見たって身にならないって。何か一つの分野でしっかりとしたものを築かないうちはあれやこれやと見て廻っても役にはたちません。

・大学教授の人事権の衰退。

これは早い話、厚生労働省役人たちの管理欲に負けた格好になります。まあ、男の嫉妬ですな。
役人って兎に角管理したがるし、役人ドモは「先生」とあがめられる教授たちから権力を奪い取りたかっただけでしょ。「医療費亡国論」とか論文を書いたヴァカ役人もいたわけで、それを錦の御旗のごとく振りかざす感じ。

さっきの医局人事の話だと、昔は教授から「あそこに行け~!」といわれればそれは絶対だったわけで
当然僻地に飛ばされる医師もいるんですよ。まあ期間限定でその人が辞めれば後釜も医局で用意する。
そうやって、なんとか支えられてきた僻地医療も、卒後研修制度義務化や大学教授の人事権の衰退、医局の求心力の低下により崩壊したわけです。

・医療訴訟の増加~医療の質が上がって助かって当然という意識が患者側に。

例の福島県の大野病院での医療訴訟問題でも、産科の医師が必死になってハイリスクな症例に立ち向かったのに、その顛末が不幸な結果になってしまったとたん、罪人扱いですよ。こんなリスクのあることなんてダレもしませんて。たたでさえ、産婦人科って神経使うのに。。。

・毎年行われる医療報酬の改定。っていうか削減。

例えば前年度までは1000円だった料金を今年から700円にします~!とか厚生労働省が勝手に医療報酬を削ってくる。これはあからさまな病院つぶしです。病院を潰して一床でもベッド数を減らし、医療費を削ってくる。何度か書いているように、日本の医療費なんて先進諸外国からするととんでもなく安いんですわ。それでもなお削ってくる。まあみんな死んでくださいって言っているのと同じです。ド田舎に立派な道路を作るから、役人さまが天下る先にお金を回すから、その代わり一般庶民の皆様は病気や怪我をしても病院に掛かるのを我慢してねって事。病院に掛からなくてもいいように病院を減らすからねってw

中小の病院を潰してその医療資源を大きな病院に集中させ効率よく医療を提供するとか言ってますけど、それは正に机上の空論。はっきり言えばコンビニ受診のごとく時間外に病院にやってくる患者や、どうでもいい酔っ払い、軽症の患者など、重症患者を診なければ行けない医療機関に一気に押し寄せる。そうやって失敗したのが東京ERでしょ。だからそういうある意味軽症患者や何だかんだと面倒を見なければいけない人たちには中小の病院は必要なのよ。でないと高次医療機関の本当の力は発揮できません。もちろんそれ以外の通常の診療も中小の病院ならではの小回りの利くやり方が現状は充分に役に立っているわけで。

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分かりやすい一例を。。。

嵌入爪の治療:370円  ネールアート:15000円

医師の診断書:1500円 弁護士の内容証明書:100000円

再診料:710円   散髪料:3000円

非開胸的心マッサージ(30分):2500円  柔整のマッサージ(アンマ) :5000~7000円

医師は常識外れの低価格でご奉仕です。



続きはまた気が向いたら書きます。

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