寒いので夕餉も燗酒にあわせて。今夜は鬼平を気取ってみることに。 平蔵が入浴を終えて出てくると、久栄が酒の肴の仕度をととのえ、侍女に運ばせ居間へあらわれた。「鴨じゃな。」「はい。」鴨の肉を、醤油と酒を合わせたつけ汁へ漬けておき、これを網焼きにして出すのは、久栄が得意のものだ。つけ汁に久栄の工夫があるらしい。今夜はみずから台所へ出て行ったのであろう。それと、鴨の脂身を細く切って、千住葱と合わせた熱い...